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花王株式会社は、2023年4月から2024年3月までの1年間、鹿児島県薩摩川内市にて、総合リサイクル業の株式会社ナカダイの協力のもと、鹿児島県薩摩川内市内の約1,300世帯を対象に、トイレタリー製品のプラスチック包装容器類を薩摩川内市の資源物回収ルートに乗せて回収する実証実験を実施しました。
自治体の資源物回収ルートを活用するリサイクルのスキームはすでに飲料用ペットボトルにおいて確立されていますが、トイレタリー製品のプラスチック包装容器での実証実験は今回が初めての試みです。
現在複数展開中のリサイクル実証実験で見えてきた「回収量の確保」や「回収にかかるコストの削減」といった課題の解決を図り、持続可能な回収スキームの確立をめざしています。
なお本実証事業は、持続可能な社会の構築をめざすサーキュラーパーク九州事業の一環として実施、「薩摩川内市SDGsイノベーショントライアルサポート事業」に採用されています。
実証実験の結果と今後の展望を報告します。
現在薩摩川内市では月2回程度、住民が洗浄・乾燥させたトイレタリー製品や食品の包装容器、色のついた食品トレーといったプラスチック容器を、自治体が資源物として回収しています。今回の実証実験では、参加者が回収に協力しやすいしくみとして、回収対象をチューブ類を除いたトイレタリー製品のプラスチック包装容器全体とし、生活者が日常的に資源物回収に使用している自治体のリサイクルステーションを回収場所に設定しました。
・期間:2023年4月~2024年3月(1年間)
・場所:鹿児島県 薩摩川内市
・対象世帯数:約1,000世帯
・回収対象:トイレタリー製品のプラスチック包装容器類
例:洗たく用洗剤、台所用洗剤、漂白剤、お風呂用洗剤、トイレ用洗剤、洗顔料、シャンプーリンス、ボディソープ、ハンドソープ、消臭芳香剤、化粧水、乳液、美容液、美容クリーム、ハブラシなど
*花王以外のメーカーの製品も回収
・目標回収量:約1,100kg(実証実験開始時点)
商品の材料として安定して使用できる「回収量の確保」
対象世帯は約1,300世帯、回収量は715kgという結果になりました。
商品として提供するための「回収品の品質の担保」
対象外の包装容器類は全体の3%と非常に少なく、約9割が洗浄・乾燥済みの品質の高いものとなっていました。回収品の98%の再資源化が可能と見込んでいます。
スキームを持続可能にするための「回収にかかるコストの削減」
今回の実証実験は「薩摩川内市 SDGs イノベーショントライアルサポート事業」に採用され、薩摩川内市から、展開地域の提供や関係者との調整など支援を得ています。回収にかかるコストは、花王とナカダイが負担しています。
参加者からのコメント
実証実験の実施期間中、分別回収におけるしくみの抱える課題や回収へのモチベーションアップのヒントを把握するため、参加者に対しアンケートを実施しました。環境負荷低減、資源の有効活用など本実証実験の意義には一定の評価が見られた一方で、分別・洗浄・乾燥、回収ボックスまでの持参といった手間に負担を感じるという意見が多くありました。特に、回収の機会が隔週に限られている、回収までの間に家で保管するスペースの確保が必要、スーパーなどいつでも回収してもらえると助かる等、改善を求める声が多く寄せられました。
以上の結果を受け、2024年4月から2025年3月までの1年間、実証実験から得た知見を反映させた新たなスキームで、薩摩川内市の協力のもと、花王とサーキュラーパーク九州を中心として実証実験を展開していきます。新スキームでは、資源回収を実施している薩摩川内市内のスーパーにて回収を開始する予定です。また、ナカダイが担っていた分析作業等を、サーキュラーパーク九州株式会社の薩摩川内市での事業開始に伴い、サーキュラーパーク九州が引き継いで実施していきます。月2回程度に限られていた回収の機会が大幅に増加することによる、回収量の増加を見込んでいます。またコストについては、スキーム全体のなかで、引き続き関係者間で検討を続けていきます。
花王グループは、2019年4月にESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(キレイライフスタイルプラン)を策定しました。また2021年からは、「未来のいのちを守る~Sustainability as the only path」をビジョンに掲げた中期経営計画を推進しています。今回のプラスチック包装容器リサイクルの取り組みは、「Kirei Lifestyle Plan」の重点取り組みテーマのなかでは「ごみゼロ」に貢献するものです。引き続き、実証実験を通して、分別・回収・運搬・再資源化等、各ステップで関与する関係者が主体的に参加し自律的に拡大していくリサイクルのしくみの構築を検討していきます。特に生活者に対しては、資源循環を構成する一員として、商品の選定から使用、容器の分別、回収とリサイクルについて理解・共感を得ていきたいと考えています。今後も、経営にESGの視点を導入し、事業の発展と、生活者や社会へのよりよい製品・サービスの提供をめざし、パーパスである「豊かな共生世界の実現」に向けて取り組んでまいります。